先日, 久しぶりにTSAロックの南京錠を発掘したのですが,いざ使おうとしたところ,記憶していた暗証番号では開きません...番号を変更した記憶はあるのですが思い出せないので困ったものです.
そこで,TSAロックのマスターキーを購入してしまえばよいのではないかと考えたのですが,TSAロックは一般の使用者が暗証番号以外の方法で解錠することは想定していません.
そうすると,マスターキーは特殊開錠用具にあたるのではないかとの懸念が生じます.
法令を確認したところ,「特殊開錠用具」の定義は,以下の通りです.
特殊開錠用具 ピッキング用具(錠に用いられるシリンダーをかぎを用いることなく、かつ、破壊することなく回転させるための器具をいう。)その他の専ら特殊開錠(施錠された状態にある錠を本来の方法によらないで開くことをいう。以下同じ。)を行うための器具であって、建物錠を開くことに用いられるものとして政令で定めるものをいう(特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律2条2号)。
「施錠された錠を本来の方法によらないで開くこと」...TSAロックをマスターキーで開ける行為というのはまさにこれなので,リーチがかかったといえるでしょう.
しかしながら,条文をよく読んでみると,「建物錠を開くことに用いられるもの」との文言があります.
したがって,仮にTSAロックを解錠するために用いられるとしても,「建物錠を開くことに用いられるものとして政令で定めるもの」でなければ,特殊開錠用具にはあたらないということになります.
この点,政令では,①ピッキング用具,②破壊用シリンダー回し,③ホールソー,③サムターン回し...が特殊開錠用具として定められており,問題になりそうなのは,①ピッキング用のみということになります.
ピッキング用具の定義は,「錠に用いられるシリンダーをかぎを用いることなく、かつ、破壊することなく回転させる」ことであり,TSAロックのマスターキーは鍵なので,問題にはなりません.
なお,特殊開錠用具に関しては完全に素人のため,なにか見落としている点があるのでないかと気になり,警視庁に連絡したところ,所轄の刑事課に回され,担当者いわく「なんともいえないが,個人的には,持ち歩いたりしないのであれば,特段問題となることはないと思料される(概要).」とのことでした.
というわけで,TSAロックのマスターキーは,日本国内において所持および購入は合法であると判断してよいでしょう.
※TSAロックのマスターキーは,本来,米国の空港係員のみが所持するものであり,データが不法に流出したことによってマスターキーが販売されるようになったという経緯があります. したがいまして,日本国内においては合法でも,米国ではどうか...という問題があります. 海外には持ち出さないほうがよいでしょう.
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