2021年3月6日土曜日

家族法問題・解説②

 家族法の問題とその解説です.


■内縁の配偶者Bは,建物賃借人Aの死後,Aの相続人と共に,同建物の共同賃借人となるので,依然,建物に居住する権利を主張することができる.

誤りである. 最高裁判所第三小法廷昭和42年2月21日判決は,「家屋賃借人の内縁の妻は、賃借人が死亡した場合には、相続人の賃借権を援用して賃貸人に対し当該家屋に居住する権利を主張することができるが、相続人とともに共同賃借人となるものではない。」としている.

■婚姻が離婚によって終了した場合,配偶者の財産分与請求権が認められる.また,婚姻が夫婦の一方の死亡によって終了した場合,生存配偶者の相続権が認められる.そして,これらの権利は,内縁関係の者にも認められる.

誤りである.「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる(民法768条1項)」かつ「前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる(民法768条2項)」ところ,最高裁判所第一小法廷平成12年3月10日決定は「内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、民法768条の規定を類推適用することはできない」としている.

■不法行為による生命侵害の場合,被害者Aの配偶者Bは,Bに対する加害者の故意過失を証明することなく,固有の慰謝料を請求できるが,被害者Cの内縁配偶者Dは,Dに対する加害者の故意過失を証明した場合に限り,慰謝料を請求することができる.

誤りである.故意過失の立証責任は原告側にある.仮に立証ができた場合「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない(民法711条)。」から,被害者の父母ならびに配偶者や子等は,慰謝料の請求が可能であり,最高裁判所第三小法廷昭和49年12月17日判決によれば,「不法行為による生命侵害があつた場合、民法711条所定以外の者であつても、被害者との間に同条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存し、」「被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者」は,固有の慰謝料請求権を有する.

以上

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