2017年5月11日木曜日

水は●種類ある ー 同位体の話

水の化学式がH₂Oであることは小学生でも知っています.
では, いろんな種類の水がある...というのはどうでしょう?
中学校, あるいは(公立学校なら)高校の理科で同位体という存在を知ることになると思います.
同位体というのは陽子数が同じで中性子数が異なる原子のことを言います.

たとえば, 自然界の炭素のうち98.9%くらいは6個の陽子と6個の中性子を持っています. しかし, 0.8%そこらは6個の陽子と7個の中性子を持っています. 
これを炭素13といいます(普通の炭素は炭素12).
他にも自然界には炭素14という放射性の炭素があり, これは6個の陽子と8個の中性子を持っています.

炭素12と13は放射線を出さないので安定同位体といい, 炭素14は放射性同位体といいます.

さて, 水がH₂Oだという話をしました.
もし, 水素(H)と酸素(O)にも同位体があったらどうでしょうか?そうなると水というのは実は何種類かあることになります.

水素の同位体はおよそ7種類あります. 天然のものとしては水素1,2,3があります.
水素2は陽子1つと中性子1つを持っており, デューテリウムといいます. 水素3は陽子1つと中性子2つを持っており, トリチウムといいます. 
トリチウムは太陽から来る放射線と空気が反応してできる放射性同位体で, 毎年70000000億ベクレルほど生成されます. 実際にはもっと生成されているのですが, 水素は軽いので宇宙に逃げてしまうためこれくらいになります.

では, 酸素はどうでしょうか?
最も多いのは酸素16で, 99.76%くらいは酸素16です.
次に多いのは酸素17で, 0.038%くらいです.
3つめは酸素18です. 0.2%くらいになります.

さて, それぞれを使ってH₂Oを作ってみましょう.

#酸素(O)水素(H)
116O1H
216O2H
316O3H
417O1H
517O2H
617O3H
718O1H
818O2H
918O3H
放射性同位体
安定同位体

こんな感じに, 水は9種類あることが分かります.
なお, 地球上のどの地域でも一様に分布しているのではなく, 極地地方(南極とか北欧とかグリーンランドとか)では宇宙線が多く降り注ぐため放射性同位体が多いようです.
また, 標準的な水の沸点が99.974℃(373.114K)であるのに対してトリチウム水は101.51℃(374.65K)とすこしだけ高めになっています. このため, 大気圏内で局在化しているかもしれません.

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